今回はどうしても行ってみたかったお店があり
館山まで行ってきました。
そのお店の名は
「珍耒」と書いて「ちんらい」と読みます。
そこは埼玉・千葉を中心に点在する中華料理チェーン店「珍来」とは全く異なるお店でした。
「ここのお店は中華料理と言いながらも風変わりなメニューが多い」
ただそれだけの情報を頼りに
館山に行った時は必ずやこのお店へ立ち寄りたい。と心に誓っていました。
それがこの度、現実となったわけです。
「珍耒(ちんらい)」は突然海沿いに現れる。
赤い狼煙がかかっています。
「えゝ!厄除タンメン??なんじゃそれ!?」
と思わずツッコミたくなる気持ち、わかります。
面白すぎですよね。そして如何にもやばそうな店だなって思いますよね。
お店の前に立つと、なんかこれはヤバそうな臭いがプンプン漂うわけです。
お店を覗くとお客さんは2組が既に入店しており、どちらも年齢は高めでした。どちらかというと常連さんが多いお店なのかもしれません。
しかし、ここで怯んではいけないのです。
意を決して入店しました。
テーブル3席とカウンター4席でこぢんまりとした印象でした。
この日は35度を超える真夏日。
エアコンの効きも悪く、少し店内は暑く感じました。
土曜のお昼時、法律相談の番組が流れている中
何を注文しようか?迷います。
「厄除タンメン」も気になりますが、その他にもカツ丼以外で突拍子もないメニューがあるのか?メニュー表を覗いてみると・・・
当店自慢の雨あられww
カツ丼は「当店自慢」ですが、とんかつは「当店自慢」ではないのが面白いです。
そして牡蠣フライを推してくる理由は広島県産の牡蠣をわざわざ仕入れているらしい。
「広島産の牡蠣は昔から変えてないんだよね。」
と、とにかく斬新メニューの中から
カツ丼と牡蠣バターラーメン、それと餃子を注文しました。
「私は急がない」アピールが凄い!
テレビを見ながら気長に待つ。
そこで気になったこと。
テレビの横の張り紙でした。
ここは、店員さんが一人。おばちゃん一人なのです。
すごくわかりやすい訴求!!
これをみたら「カツ丼まだですか?」
って聞けないですね。てかそれで聞いてくる客はどんだけ鈍感なの?って思っちゃうくらいです。
また、客席の横には竹やぶの写真が壁一面に貼ってあって、そこになぜか孤独な虎が一頭。その横に「斎藤ひとり」の額縁があり。。。寂しさを感じました。
振り返るとエアコンとその横には
「我慢して苦労の先に幸せが」
という貼り絵がありました。
色々と考えさせられる千葉最南端の町中華はとてつもなく孤独な感覚を漂わせていました。
そうこうしている間に一品目が到着。餃子です。
シンプルであっさりとした餃子は小ぶりですが美味しい!!
あっという間に餃子を食べ終わると、続いてやってきたのがカツ丼です。
「大盛り結構あるけど大丈夫?」と言われましたが「大盛りでお願いします。」って言ってみました。
すると、
す、凄いww
カツ丼もすごいのですが、玉ねぎがすごい。
「これから作るからねー。」と言うと、
「この玉ねぎおっきいでしょ?これ自家製なんだよね。新玉ねぎは甘みが違うんだよね」
と見せてくれたんですが、それを使ってのカツ丼だった様です。
すごく斬新。でも、なぜだかびっくりしないのが不思議。。
カツを持ち上げてみると・・・
分厚っっ(汗)
あまりにも分厚すぎでしたが、めちゃくちゃジューシーなのに柔らかくて美味しい。
「結構肉厚でしょ!これ300グラムよ!300グラム!」と前のめりに伝えてくる。
玉ねぎの甘みが包んでくれるのか?ご飯大盛りにしたのに全然足りなかったです。
あれよあれよという間に完食してしまいました。
すると、続けてやってきたのが「牡蠣バターラーメン」でした。
これまたスゲーでっかい牡蠣が3つもボロンと入っていました。
なにが良いって本当にシンプルであっさりしているんだけど、
牡蠣の旨味が効いていてめっちゃスープも美味しかったし、広島県産の養殖牡蠣がデカくて食べ応えありました。
これは美味しい牡蠣で、カキフライやカキフライ丼が自慢料理な理由もわかりました。
気がつくとそこはアットホームなお店でした
ラーメンを食べていると、他のお客は会計を済ませ店を後にしていて、残す客人は僕らの席だけでした。
すると、ひと仕事を終えたかの様に、カウンター席に座り込みこちらに話しかけてきたのです。何気ない会話が続いていたのですが、しばらくするとホール横の扉からちょこんと柴犬がこっちを覗き込んでいました。
ええ?なんですか?かわいい!
「ああ、うちの姫ちゃんだよ。3歳だよ。この子はひと懐っこいしおとなしいよ」
というのでこの柴犬と戯れながら話を聞いていました。
「何もかも一人だからどうしても時間かかっちゃってさ。この前なんかバイクで10人くらいの団体さんが来た時はビビったよ。あんたたち、怖いひとじゃないよね?なんか殴られると思ったよぉ、って言ったんだよ。そしたらバイクのにいちゃんが「俺たちはそんなことしねぇよ」って。
それ聞いて安心したけどよぉ。やっぱり10人も一気に料理出すの大変だから時間かかっちゃうけど大丈夫?って聞いたら、バイクのにいちゃんは「ああ全然いいよ」って言ったけどさ。あんときは10人作るの大変だったよ。。」
とエピソードを語ってくれました。
その後も会話は続き、
「ところで、今日はあんたたちどこから来たの?」と聞かれたので
「埼玉だよ」と言うと親戚に埼玉県民が多かったらしく
「よく埼玉の親戚のウチにも行くよ」と身の上話を色々話してくれました。
そしてお勘定を済ませると
「ああ、これ持っていけよ」と自家製の野菜を手土産に渡してくれました。
悠々自適な生活がそこにはあり、気さくな性格とたくましく生きている姿に勇気づけられました。
人情味溢れるお店がそこにはありました。
そんなおばちゃんにまた会いに行きたいなと思いました。
手土産で持たされた野菜たちは、漬け物や炒め物の男料理で美味しくいただきましたとさ。